画像生成AIの「Stable Diffusion」をコマンド操作不要で使えるソフト「NMKD Stable Diffusion GUI」でインストール時やその後の画像生成がうまくいかないという報告が沢山挙げられていたので対処法を仮まとめ。
随時更新予定です。
NMKD Stable Diffusion GUI のインストール方法や使い方はこちら。
入力したテキストから画像を生成したり、自分が描いた落書きに説明テキストを加えれば思い通りの絵に変えたりできるAI「Stable Diffusion」 ↑a sleeping cat in the hot spring (温泉で眠る[…]
※動作条件のうち「Windowsのユーザー名に日本語・半角スペースを含まない」は回避方法があるので、該当した方は以下にお進みください。
最新版(1.6.0)では、バージョン 1.2.0/1.3.0/1.4.0/1.5.0 で発生していた不具合が一部解消されました。
旧バージョンを使っていてエラーが解消できない場合は、最新版を導入してみてください。
画像生成AIの「Stable Diffusion」をコマンド操作不要で簡単に使えるソフト「NMKD Stable Diffusion GUI」 が 2022/10/17 に更新されました! 現在の最新版はバージョン 1.6.0 です。[…]
以下、各エラーごとに対処法を記載します。
※エラー画面は バージョン 1.2.0 のものです。古いソフトバージョンのエラー解消がメインで情報が古めになってしまいすみません。
(目次から該当のエラーに飛ぶのが速いかもです)
エラーメッセージが得られている場合は、ページ内をエラー文字列で検索すれば情報にすぐ到達できます (Ctrl+Fキー)
インストールできない場合 (インストール時にエラーが発生)
インストール画面で正常にインストールできなかった物が何かによって、対処法が変わります。
Installation Status: の下にあるチェックボックスのうちチェックが付いていない物があれば、それはインストールに失敗しています。
※上写真の Installer 画面はソフト右上にある「PCモニターに下矢印」のアイコンのボタンをクリックすれば起動できます。
また、ソフト左下にログメッセージが表示されており、そこを見ればエラー情報などが記載されています。
詳細なエラーログはファイルに全て保存されています。必要に応じて以下のファイル内のエラーログもご確認ください。
Stable Diffusion Repository や 1.4 Model File がインストールできない場合
エラー発生画面
ソフト左下インストール状況表示ボックス
※表示されるファイルパスは NMKD Stable Diffusion GUI のインストール先によって異なるので、
Install error: ファイル '○○\Data\model.ckpt' が見つかりませんでした。
というエラーが表示されていればこの事例に該当します。
インストールエラー発生時に「A valid installation is required」とポップアップメッセージが表示されたかもしれません。
原因
model.ckpt は Stable Diffusion のモデル本体のファイルであり、約 4GB と巨大なためダウンロードに失敗することがあります。 (なぜか特定環境で)
前提として
- ソフトのインストール時はネットがオンラインであること
- 安定した高速なネット回線であること
- (ファイアウォール設定やVPNなどで通信が弾かれていないこと)
は満たしていることをご確認ください。
ただし条件を満たした状態で何度やり直しても毎回「model.ckpt が見つかりませんでした。」と表示されがちなので、以下の対処法を実行してください。
対処法
Stable Diffusion のモデルファイル (model.ckpt) は他の場所からでもダウンロードできるので、それを代わりに以下のフォルダに入れればOKです。
Ver. 1.3.1 / 1.3.0
Ver. 1.2.0
model.ckpt のダウンロード先は Hugging Face の
リンク:https://huggingface.co/CompVis/stable-diffusion-v-1-4-original/resolve/main/sd-v1-4.ckpt
ですが、事前にアカウント作成とログインが必要になります。
詳しいアカウント作成方法はこちらを参照してください↓
sd-v1-4.ckpt という名前でダウンロードされるのでそれを model.ckpt にリネームして、「見つかりませんでした」と表示されていたフォルダの中に入れてください。
その後、ソフトを起動 → Installer画面を起動 → Install すれば今度は「Stable Diffusion Repository」にチェックが付くはずです。
Python Environment がインストールできない場合
エラー発生画面
ソフト左下インストール状況表示ボックス
Successfully patched modules.py.
Downloading model file...
Model file downloaded (4 GB).
Finished - Not all packages could be installed. Installation log was copied to clipboard.
Error setting clipboard text: 値を Null にすることはできません。
パラメーター名:text
installation.txt
[E] 'conda' は、内部コマンドまたは外部コマンド、
[E] 操作可能なプログラムまたはバッチ ファイルとして認識されていません。
※下線部「○○」は自分の Windows ユーザー名です。
(sessionlog.txt)
ソフト左下インストール状況表示ボックスの表示内容が記録されたファイルです。
上記メッセージの他に
といったエラーが表示されている場合があります。
原因
→ Windowsのユーザー名に日本語(漢字やひらがな)・半角スペースを含んでいるとPython Environment がインストールできない
ユーザー名がたとえ英文字でも、「Yamada Nekotaro」のように半角スペースを含んでいるとこのエラーが発生するみたいです。
根本の原因としては、本ソフトが自動的にインストールしてくれる conda環境 が、そもそも半角スペースを含んだユーザー名に対応していないためのようです。
参考情報:Error : Failed to create temp directory "C:\Users\user\AppData\Local\Temp\conda-<RANDOM>\"
対処法
方法①:新しいWindowsユーザーを作成する
半角スペースや日本語を含まない英字だけのユーザー名で、新しいユーザーを作成してそこで改めてインストールすればOKです。
方法②:インストール前に環境変数を書き換え
今のユーザーで NMKD Stable Diffusion GUI をインストールしたい場合は、以下の手順で環境変数を書き換えることでエラーを回避できます。
ただし環境変数の書き換えは自己責任でお願いします。
(変更で特に問題は発生しないと思いますが保証はできないです。1人にやってもらった時は無事うまくいきました)
① Windowsの環境変数の編集画面を開く
② ユーザー環境変数のうち、TEMPとTMP の値を次のように変更
TEMP
変更後:C:\temp\conda
TMP
変更後:C:\temp\conda
③ この状態で NMKD Stable Diffusion GUI を開き、再度インストールを行う
このTMPやTEMPは、色々なソフトウェアがインストール時に一時的に使うフォルダを指し示すものです。
今回、conda環境はこのTMPやTEMPのファイルパスに含まれる半角スペースに対応できずエラーを吐いていたみたいです。
変更したことはメモしておき、今後別のソフトのインストール時・使用時にトラブルが発生したときはこれが原因かもと思い出せるようにしておいた方が良いと思います。
Upscalers にチェックが入らない場合
Upscalers がインストールできないと
画像を高画質化するアップスケーリング機能と顔面を修正する顔修復機能が使えなくなります。
インストールできない環境
お使いのPCのグラフィックボードの種類によってはVRAM容量が少なく(6GB未満)、ソフト起動時に Low Memory Mode という低VRAM用モードに自動でなります。
※モードの切り替えは画面右上の歯車ボタン → Settings画面の「Low Memory Mode (For <6GB GPUs - Disables Some Features!)」のチェックボックスのON/OFFでできます。
(ONが Low Memory Mode)
Low Memory Mode ではいくつかの機能が制限され、それには Upscaler も含まれます。
低VRAM環境では Upscaler の機能自体が使えないためそもそも必要なファイルを入れても Upscalers にチェックが付かないみたいです。
対処法 (Ver. 1.5.0 以降を想定)
追記(10/29):低VRAM環境ではチェックが入らないみたいです。(コメント欄参照)
手動で外部から Upscalers を入れることで使えるようにならないか試してみます。
対処法 (旧バージョン)
手動で外部から Upscalers を入れればチェックが入り使えるようになります。
ソフトが動かない・画像を生成しない場合
インストールは完了したものの、なぜかソフトで画像が生成できない場合の対処法です。
No images generated. と表示され、何も画像が生成されない ①
エラー発生画面
ソフト左下インストール状況表示ボックス
No images generated.
sd.txt
ModuleNotFoundError: No module named 'ldm'
↑Python環境(conda環境)はきちんとインストールされているはずなのに、なぜか「No module named 'ldm'」と怒られます。
installation.txt
↑installation.txt のログに答えが書いてありました
原因
→ Microsoft Visual C++ 14.0 が入っていない (追加でインストールが必要)
対処法
-
Microsoft C++ Build Tools を下記サイトからダウンロード
リンク:ダウンロード先 - 以下のサイトの手順に従ってインストール。
リンク:インストール手順 ※リンク先サイトが重い場合:こちら
※「C++ によるデスクトップ開発」を選んでインストールできれば大丈夫です - 今現在インストールされているNMKD Stable Diffusion GUI はフォルダごと削除してしまい、改めて同じ場所に再度zipファイルを解凍してもう一度インストール作業を行う
※試せていませんが、もしかしたらインストール済みのソフトでInstaller画面を出し「Re-Install」をクリックすれば削除不要でエラーを解消できるかもしれません
※同様の問題の解決事案(海外):リンク
No images generated. と表示され、何も画像が生成されない ②
上記の①とは別の原因で同様のエラーが発生する場合があります。
※エラーログの内容はソフトのバージョンによっては以下の内容になる場合があります。
No images generated. Log was copied to clipboard.
原因
→ Windowsのユーザー名に日本語(漢字やひらがな)・半角スペースを含んでいると画像が生成されない
ユーザー名が上記の状態だと、インストールだけでなくその後の画像生成もうまくできないようです。
対処法
→ これより前の項の「Python Environment がインストールできない場合」の手順に従い新しいWindowsユーザーを作成するか、環境変数を変更する。
※以前に「変更した環境変数は戻してください」と記載してしまいましたが、環境変数を戻してしまうと画像生成が結局うまくいかなくなるので戻さず変更したままにしないといけないようです。
Generated 0 image と表示され、何も画像が生成されない
エラー発生画面
ソフト左下インストール状況表示ボックス
Generating...
Generated 0 image in 0.68s (0/3)
Done!
sd.txt
原因
→ VRAM(ビデオメモリ)の不足
対処法
VRAM使用量を減らすため、生成させる画像のサイズを小さくする。
赤枠で囲った Resolution (解像度) を一番小さい 256×256 にして画像を生成させてみてください。
それで生成されるのであれば、あとは生成される限界まで画像のサイズを上げることができます。
バージョン 1.3.0 以降限定:VRAM使用量を減らすモード
VRAM使用量を減らすモードを使えば、画像のサイズを小さくすることなくVRAM不足による「Generated 0 image」エラーを回避できます。
画面右上の歯車アイコンの設定ボタンから設定画面を開き、「Low Memory Mode」のチェックボックスをONにしてください。
ONにすると一部機能が使えなくなり画像生成にかかる時間も増加しますが、少ないVRAM容量(4 GBなど) でも大きめのサイズで画像を生成できるようになります。
必要時にオプションをONにするのが良いと思います。
生成される画像が緑一色または黒一色になる
お使いのグラフィックボードが GeForce GTX16系(1660, 1660 Super, 1660 Ti) の場合は既知の不具合です。
ウィンドウ右上の歯車アイコンから Settings (設定) 画面を開き「Use Full Precision」にチェックを入れてください。
これで画像が生成されればOKですが、VRAMが不足して画像が生成されなくなる場合が多いのでその場合は設定で「Low Memory Mode」もチェックを入れてください。
運が良ければこれでちゃんと画像が生成するようになるみたいです。(ダメな環境もある模様)
※どうしても Low Memory Mode を使いたくない場合は 生成する画像のサイズ(Resolution) を最小の256×256にすれば低VRAMモードを使用せずに済むかもしれません。
無事ソフトが動かせたら…
ソフトの基本的な使い方や、ちゃんとした画像を生成するために把握が必要な各設定項目の説明、一緒に使うと便利なサイトや情報源を以下にまとめたのでぜひご覧ください。
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Stable Diffusionでは文章から画像を生成するだけでなく、画像(+説明文章)から画像を生成することもできます。(img2img)
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